若手外科医の育成事業
近年、外科医に課せられる治療の高度専門化につれ、若手外科医の育成はますます重要性が増しています。広島県内における各施設での、若手外科医のレベルの一層の向上や治療の標準化を目指し、HiSCOでは下記のような目標を掲げております。また、若手外科医が一堂に会して勉強をおこなう機会を設けるため、周術期管理講習会を開催するなどの活動も行っております。
周術期管理講習会の目的
昔も今も、外科医は病院の中でも中心的な役割を求められます。治療の過程において、手術という決定的な治療手段を講じることができることに加え、全身管理もできなくてはなりません。退院後のフォローアップや外来化学療法から、最終的には緩和医療までが守備範囲です。まさに、初療からエンドステージまで、患者さんの傍らにたち、患者さんのためにおこなう全人的医療を実践しなくてはなりません。
県内の同じ志を持った若手の先生方と一緒に勉強をしませんか?そして、お互い成長をしませんか?わたしたちは、そんな若手外科医(あるいは外科を志す研修医)の先生方をお待ちしております。
2017/04/10
HiSCO事務局
外科レジデントの到達目標
- 外科医は全身を診ることが出来るべきであり、診療チームの中心となって責任を負う。
- 他分野の専門家と積極的な協議の上、最善の治療を選択できる。
- カンファレンスや学術集会に出席し、問題点を吟味し、積極的に討論に参加できる。
- 学術集会や学術出版物に、症例報告や臨床研究の結果を発表することができる。
診療に必要な態度と習慣
- コメディカルとコミュニケーションをとり、チームのリーダーとして診療にあたる。
- 適切なインフームド・コンセントを得ることができる。
- ターミナルケアを適切に行うことができる。
- 症例の直面している問題解決のため、資料の収集や文献検索を行うことができる。
- 後進の医師や学生などに,外科診療の指導をすることができる。
周術期管理で学ぶべきこと
- 術前評価として患者のリスクを適切に理解し、対処ができる。
- 肝不全患者への対応(腹水コントロール含む)ができる。
- 腎不全患者への対応ができる。
- 心不全、心血管病変を有する患者への対応ができる。
- 呼吸不全患者への対応ができる。
- 病態に応じた周術期の補正輸液と維持療法を行うことができる。
- 出血傾向に対処できる。
- 血栓症の病態を理解し,抗凝固・抗血小板薬の適切な使用できる。
- 電解質補正(高Na,低Na,高K,低K)の病態の理解と対処ができる。
- 静脈、経腸栄養の投与と管理ができる。
- 臓器、疾病特有の細菌の知識を持ち,抗菌薬を適切に選択することができる。
- 血糖コントロールの重要性の理解と対処ができる。
- 合併症への対応ができる。
- 感染症への対応(病態に応じた適切な抗菌薬を選択)ができる。
- 人工呼吸器のモードの選択、中長期的な治療方針の設定ができる。
- ショックの診断と原因別治療(輸液、輸血、成分輸血、薬物療法を含む)ができる。
- DICの診断と治療ができる。
- 胸腹水穿刺、CV留置を安全に行うことができる。
周術期管理講習会での講義資料
講義の復習や日常臨床にお役立てください。
- 2016/12/03 小林剛先生(広島大学病院):「肝機能障害患者に対する周術期管理」
- 2016/12/03 石本達郎先生(県立広島病院):「腎疾患患者における周術期管理」
- 2017/03/25 吉田 誠先生(県立広島病院):「周術期輸液管理の基本」
- 2017/03/25 眞次 康弘先生(JR広島病院):「急性期・周術期の栄養管理―静脈栄養―」
- 2017/09/23 大毛宏喜先生(広島大学病院):「重症腹腔内感染症における感染対策」
- 2019/06/29 檜井孝夫先生(広島大学病院):「がんゲノム医療について」